No.15 ...秋の終わりに
黄と赤の過ぎ行く秋の足跡よ枝を離れて帰る場所無し
横顔もそっと交わしたくちづけも消えそうな夜の風の冷たさ
「そうだね」と頷く君の腕の中にとんでゆきたい何もかも捨てて
茜色の空に溶けゆく心あり帰れぬ人の声が懐かし
しっかりとつかまえていて欲しいのに揺れる心も君ははかれず
ゆっくりと動き出しては点灯すブレーキランプためらうように
1ピース足りないパズルやさしさにどこか似ているもどかしい恋
“あいたい”とそのひとことが言えぬままじゃあねと言いて受話器を置きぬ
いつまでも変われぬ心この想い恋と呼ぶにも遅すぎるのに
「元気か?」と不意にあなたにたずねられ「うん」と笑って嘘つきとおす
ゆく秋にさらわれそうなあやうさで封印済みの恋と向き合う
夕暮れに何を思うか枯れ落ち葉ぽつりと水の上に漂う
果てしなく繰り返される日常のその延長にひとり吾はおり
(27歳・晩秋/十三首)