No.3 ...さりげない罪
満天の星空の下君と我ただそばにいることの嬉しさ
もう別の彼女がいるのかもしれないアドレスめくる指がこわばる
とりとめもない話でも右側にあなたがいるという特別さ
封筒の宛名を指でなぞるとき我の名書きし君を浮かべぬ
想い出の重さに負けてしまうそうあなたのもとへとんでゆきたい
運命という名のものを感じおりただただこの身をゆだねていよう
偶然と必然とにて議論せり出逢うも恋するも必然なり
「それじゃね」と軽く別れを交わしけり切れた電話の右手重たく
パーセント100の単位の嘘じゃなく瞬間的でも吾を愛し君
あの頃の全部がとても大切なことだと告げてしばし黙する
君のこといつも私は困らせたけど君も私を困らせてたわ
肩の荷をおろせたようで何もかも違って見えそうなさよならを言う
あの人が好きなものなら何でもそばに置きたくて鉢植えパセリ
「三月の、十・・・」まで言って口ごもる誕生日くらい覚えていてよ
短針と長針頂点で重なって二日越しでの長電話をする
さよならのかわりに笑って「おやすみ」と言って受話器を置ける幸せ
本気とも冗談だともつかぬ事いつもあなたはさらりと言うのね
恋するは久かたなりてかけひきも初恋のような手探りの恋
雨の中歩いた道も何もかも『二人で』という記念になりぬ
乗り慣れて見慣れた景色の小田急も特別となる君がそばにいて
嫌いにはなれぬと言えばならなくていいよと返すさりげない罪
(大学時代1/二十一首)